子供にミシンが必要な理由

ミシンに関心をもったきっかけ

1940年に裁縫業者が所有していたミシンの一覧です。メーカーはすべてシンガー社だったことがわかります。
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私がミシンに関心をもったきっかけは、1940年に作られた1点の書類です。

私は大学院に入学した2000年から、兵庫県姫路市で裁縫業者を営んでいた藤本仕立店の史料に取り組んできました。

史料の整理や解読を続ける間に一番驚いたのが、この写真に示した「裁縫機登録調査書」です。2007年のことだったと思います。

この史料は1940年に藤本仕立店が所有していたミシンの一覧です。

ミシンのメーカーはすべてシンガー社でした。そしてほとんどが44-13型でした。

この史料を見たとき、20世紀前半の日本工業化には、19世紀後半と同様に外国の機械や技術が強く影響したのだと再認しました。

1940年に裁縫業者が所有していたミシンの一覧です。メーカーはすべてシンガー社だったことがわかります。

「裁縫機調査登録書」の一部。藤本家所蔵。

1990年代から、日本経済史研究は、外国人と内国人が混在的だった近代化像を無視し、いわば国風経済史観というべき惨状にあります。外国からの独立を前提にしながらも無視する癖が散見されるようになりました。

日本の研究者たちは、いとも簡単に自分の親(中国・欧州・米国)を忘れるらしい。自意識が過剰過ぎて自分の状況を忘れやすいのでしょうか…。その意味で最近30年間の日本経済史研究に躍動感は皆無です。
藤本家の所有ミシン一覧からは、それまでに読んだ日本経済史分野の論文や著書のすべてを超える衝撃を受けました。

これを機に、私はミシンの世界的普及と各国アパレル産業の展開について勝手気ままに調査に没頭し、論文を書きまくりました。

そして分かってきました。

20世紀転換期頃にシンガー社製ミシンは地球規模で販売され、世界中の良妻賢母像、学校教育、衣服文化、衣服産業に大きな影響を与えました。その成果が1冊目の単著「ミシンと衣服の経済史 地球規模経済と家内生産」です。

そして、2019年の秋、藤本仕立店の史料を総まとめした2冊目の単著「近代日本の衣服産業 姫路市藤本仕立店にみる展開」を刊行します。現在は校正に追われて疲弊気味ですが、サイト運営と上手く織り混ぜて楽しく校正も進めています。

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