この広告は、トヨタ家庭用品販売株式会社が「主婦の友」主婦の友社、1965年10月号154頁に掲載したものです。
トヨタの画期的なアイデアとして紹介されているのは「パターントレーサー付トヨタ編機K109」です。
家の編み機で編物をつくってくれた母
私が1970年代・1980年代に小学生だった頃、母はよく編機で服やタイツを作ってくれました。
当時の文脈でタイツを男子が穿くのはとても恥ずかしいものがあり、よく幼稚園や小学校で同級生たちからからかわれたものですが、まぁ懐かしい思い出です。
編み機が家に置けない?
それよりも酷い思い出は大学院時代です。
当時の教員に、私の小学生のころには家に編機が置いてあって母がよく編物をしてくれたことを伝えた時のことです。
「編機なんて大きいものは家に置けない、ありえない」と述べたことです。
残念ながら指導教員は家庭用編機を知らなかったようです。
それにしても生々しい「たびたび編んでもらった」という人の記憶まで否定するとは、どういう神経なのでしょうか…(笑)。
新製品登場!トヨタの画期的なアイデア…トヨタ編機
トヨタの画期的なアイデアであるトヨタ編機K109は、パターンレーサーという機能を付けています。
どのようなものだったのでしょうか。
さっそく見てみましょう。
パターンレーサーとは…
絵や文字など、編みたい下絵をセットし、編み進むと、その模様がそっくり再現できる写し編み装置。従来の編込模様のように編地の裏に糸がわたりません。クッション、壁かけなど室内装飾もおくつりいただけます。
出典 「主婦の友」主婦の友社、1965年10月号154頁
パターンレーサーとは模様の転写装置のことです。
編地の裏側に糸が渡らないので解れやすいように思いますが、これ以上の説明が分かりません。
模様編みをするのですから刺繍編機といえると思います。
トヨタの画期的なアイデア
ついで「トヨタの画期的なアイデア」は何なのか、これを見ていきます。
トヨタの画期的なアイデア
- 世界で初めてトヨタが開発したパターントレーサー(写し編装置付き)
- どんなデザインでも編みこなせる210目(ピッチ4.5mm)
- すべての操作レバーひとつのワンタッチハンドル
- カム操作は便利なオールプッシュボタン
- 美しい編目をお約束する3色オートテンション
- リーダー(別途販売品)
- 本機の選針装置との組合せによりスレッド編同時に編込編が簡単にできます
出典 「主婦の友」主婦の友社、1965年10月号154頁
会社情報は次のとおりです。
- トヨタ家庭用品:ミシン・洗濯機・冷蔵庫・クリーナー・ポンプ
- 販売:トヨタ家庭用品販売株式会社・特約店
- 製造:アイシン精機株式会社(旧愛知工業)
出典 「主婦の友」主婦の友社、1965年10月号154頁
クリーナーが掃除機とすると1960年代日本家庭用電化製品の三種の神器が揃っていることになります。
ミシンはそれらよりはるか昔に神器になっていたので、ふつう1960年代の三種の神器には含めません。
当時、トヨタ家庭用品販売株式会社が提供していたテレビ番組はTBS系の「コロムビア・ヒット・ショー」で、全国15局ネットの番組でした。
最後に、この広告は次のようにカタログ贈呈の案内をしています。雑誌名記入の上、愛知県刈谷局区内アイシン精機宛に郵送連絡するとのこと。
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