この記事はいただいたエピソード「私の青春を支えた陰の立役者ブラザーミシンPS205」にたどる若き日の思い出」を紹介しています。
インタビュー対象者は自分です。ミシンのメーカーと機種はブラザーミシン「PS205」です。
はじめに
エピソードテーマがミシンであると知ったとき、私は「困った」と思いました。
なぜなら、私の母はミシンを持っておらず、私の幼少期、幼稚園のお遊戯会で着るための衣装や幼稚園に通うために必要な絵本袋は、友達の母に頼んだりインターネットで買ったりして手配していたからです。
しかし、インタビューの対象者が自分でも良いとの記載があったので、私が中学生のときに両親に買ってもらったミシンについて書かせていただきます。
私とミシンとの関わり
前述の通り、私の家には元々ミシンが家になく、私にとって、ミシンはなじみ深いものではありませんでした。
そのためミシンといえば、小学生高学年ごろから始まった家庭科の授業の中で、ティッシュケースやナップザック、エプロンを作ったといった、学校の課題的な要素のほうが私にとっては気持ち的には大きいものでした。
しかし、学校として家庭科の授業が盛んであったため、ミシンを利用する機会は比較的多く、ミシンへのある程度の知識は小学生時代に身につけられていたように思います。よって、ミシンを使う技術は、小学校で、家庭科の先生やミシンを使うのが得意な友達に教えてもらいました。
また、小学生の時、学校でミシンを使って作成する課題が出るたびに、近所の手芸用品店に行き、母とどんなデザインにするか話し合いながら布を買っていた時間は私にとって懐かしく、心温まる思い出です。
「エプロンは汚れやすいから濃い色の布のほうが良いかな」、「ティッシュケースはずっと使える柄が良いんじゃない」などと母と出来上がりを想像して、自分がそれらを使っている姿に胸を膨らませながら買い物をしていました。
ただ中学・高校時代も授業内でミシンを使う機会は多少なりともありましたが、調理実習や座学のほうが多くなり、授業の中でミシンに触れる機会は少なくなっていたように思います。
私の記憶では年に一つ程度、学校で指定されたキッドを使ってポーチなどを作った覚えがあります。
大学生になってからは、このエピソードを書くにあたり初めてミシンに触れました。
私の青春を支えたミシン
前夜祭の衣装作成に不可欠な存在
私は中高一貫校に通っていて、毎年学校祭のメインイベントである前夜祭ではクラスごとに創作ダンスを披露していました。
衣装はクラスごとに手作りで、衣装係とダンス係をクラス内で募って、相談し合いながら作成していました。
限られた予算の中でいかに美しい衣装が作れるか考え、衣装係は型紙を作り、布をクラスの人数分切り出して、クラスメイトに配布します。
私はダンス係を毎年行っていたので衣装係を手伝いつつ、自分の分の衣装を作成しなければなりませんでした。そこでミシンが必要になりました。
もちろん業者に頼むなどの方法はありましたが、六年間ある行事なので自分で作りたいと両親にお願いして、私はミシンを買ってもらいました。よって私がミシンを購入したのは、七年前の2013年ごろです。
夏休み期間に衣装を作ってくることが課題でしたが、今までキッドを使ったり先生に作り方を教えてもらったりと、一人でミシンを使う機会はあまりなかったので、作り始めるまでに大変緊張したのを覚えています。
型紙を自分の身長に合わせながらサイズを調え、それらを縫っていく作業は、目の前のミシンに全意識を傾ける感じがしてとても気持ちが良かったと記憶しています。
不慣れな私は、縫う速度を一番遅くしていたので、ミシンが一針一針布に糸を通すリズムを強く感じられて、出来上がった衣装に袖を通したときは、達成感と充足感で胸がいっぱいになりました。
夏休みが明けて、みんなで衣装を持ち合って着替えて練習したときは、体操服で練習していた時の何倍も素敵に踊れているかのように感じられました。
今でも本番の日に衣装を着て撮った写真を見返しては、かつての懐かしい記憶が呼び戻されます。
やはり六年間自分で作り続けてよかったなと強く思いました。
文化祭で大活躍
私はダンス部に所属していたため部活動の発表においても衣装が必要でした。
その中でも文化祭のステージが私の学校では一番のメインイベントでした。
毎年生徒がデザインして作る部活動Tシャツの形を変えたり装飾をつけたりするアレンジをしたり、チアで使うスカートを作成したりと、ミシンを利用していました。
とくにチアのスカートに関しては、毎年後輩に受け継がれていくものなので、高校を卒業した今でも後輩が使っていると思うと感慨深く感じられます。
去年卒業生として私は高校の文化祭を訪れましたが、舞台で私たちの学年が作ったと思われるスカートを履いている後輩たちを見て、うれしい気持ちになりました。
今改めてミシンに触れ
私はこのエピソードをきっかけに、久しぶりにミシンを物置から取り出しました。
そこで、せっかく数年ぶりにミシンに触れる機会ができたのだから何か作ろうと思い、何か良いアイデアはないか家族と相談しました。
コロナウイルスが流行する今、マスクの品切れが大きくニュースで話題になっています。手作りのマスクは洗って繰り返し使用できると注目されており、私がインターネットで調べると様々な作り方が見つかりました。
ハンカチやガーゼを使って作られるものも見つかり、思っていた以上にミシンがあれば、手軽に作ることのできそうに感じました。
久しぶりにミシンを使ったため使い方を少し忘れてしまっていましたが、自粛生活の中で新鮮なことができて私は楽しさを感じました。
そして、私が作ったマスクを家の中で弟がつけているのを見て、とてもうれしい気持ちになりました。
せっかくこのエピソードを機にミシンとのかかわりを改めて持てたので、家の中で自粛生活でも簡単に楽しめるミシンを活用できたらなと思います。
おわりに
ミシンというテーマに不安を抱きつつも、自分の学生時代を思い出しながら書かせていただきました。
ミシンを通して、小学校時代のとても懐かしい家庭科の課題の思い出や、中学・高校時代の一番の思い出である学校祭を振り返ることができ、とても懐かしい気持ちと楽しい気持ちになりました。
今ではネット通販産業が発展し、美しく作られた手作りの物も簡単に手に入る時代になりましたが、やっぱり自分で作った物には特別な愛着があります。
今でも小学生の時に作ったエプロンは使っていますし、六年間分の前夜祭の衣装は残してあります。これはきっと私自身が作ったからこそ大切にしようと思えているのではないかなと思います。
時代の流れを考えると、より一層、家庭に一台ミシンがあることは少なくなるだろうと私は思います。
しかし、ミシンだからこそ感じられる温かみや愛着があるのではないでしょうか。また、ミシンを使う時間以外にも、布を買いに行く時間などのワクワク感を含めてミシンの魅力ではないかと感じます。
今回改めてミシンを目に触れる場所に出し、家族と何が作れるか話した時間は、後に懐かしく楽しい気持ちとともに思い出されるでしょう。
核家族が増え、共働き世帯の多い現代、親から子へ、昔のように時間をかけて何かを教えてあげられる機会は減っていると思います。ミシンはその機会を作ることができるのではないでしょうか。
私もいつか子どもができたら、ミシンで何か作ってあげたり、一緒に何か作ってみたりしたいと思います。
このような現代だからこそ、ミシンの持つ温かさが再確認され、使われ続けてほしいと思いました。
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