歓声まじか もうすぐ着られる!「エフロン」YKKファスナー
ここに紹介するのは「ドレスメーキング」1974年8月号に掲載されたYKKファスナーの広告です。
ホームソーイングを推進するために、YKKファスナーがファスナーブランドの「エフロン」を宣伝しています。
広告リード文は次のとおりです。
もうすぐ着られる!オリジナルデザインのこの服。私の魅力を十分に発揮できそう。だから急いでいます。このファスナーが付け終ったらまちにまった完成。”エフロン”はそんな私の気持をわかっているかのようにカンタンに、美しく縫い付けられます。薄くて柔らかいエフロンは切るだけで長さの調節ができ、とても縫い付やすく、どんな薄地にもぴったりフィットするステキなファスナーです。
出典 「ドレスメーキング」鎌倉書房、1974年8月号、174頁
広告の背景を具体的に想像してみます。
ホームソーイングで黄色のワンピースを作る最後の工程がファスナー付です。残る作業がファスナー付だけですから完成間近。
できあがったら外に着て行って、知り合いや友達からの称賛もすぐに得られて「歓声まじか」(歓声間近)というわけです。
ファスナーに疎い私は、ファスナーを切って長さ調節ができる点に驚きました。
エフロンという商標は何なのか。
これは広告左下の「エフロン豆知識」に説明されています。連載の形になっているのが辛いところ。
「カンタンな寸法詰」と題されたリード文を見てみましょう。
ファスナーのが必要寸法より長すぎる場合は、右記の図のようにファスナーを閉じて、ムシの上のミシンで2~3度縫いつけてから多少の余裕をもたせてカットしてください。(ムシはナイロン66を使用していますのでミシン針が折れる心配はなく、どこからでも自由にカットできます)ミシン掛けが下止の代行するので下止を付ける必要はありません。
ファスナーはカギホックやボタンをかけてから閉じてください。洗たくやアイロンかけも閉じてから。ドライクリーニングのあと滑りの重くなったときはロウを塗ってください。
「ドレスメーキング」鎌倉書房、1974年8月号、174頁
ファスナーの着脱部分をムシというのでしょうか。
ファスナーの長さを調節するためにファスナーを切るのですが、その時、ミシンをムシの上に数度縫いつけるよう指示されています。ムシは金属でできていると思っていましたが、ナイロン製もあったということになるのか、この辺がよくわかりませんでした。
虫にナイロンを使うと弱弱しい印象です。
そこで、KDA社のホームページを参照します。
広告の「ナイロン66」が「66ナイロン」と同じだと仮定すると「ポリアミド66」とも同じ。
ポリアミド系樹脂の総称として商品名「ナイロン」が使用されている。
(中略)
ナイロン66は、ポリアミド系樹脂の中では結晶化度が高く、物性のバランスがとれたエンプラでもあり、ナイロン6と比較すると、耐熱性、機械的強度において、より優れた値を示す。
出典 PA66(ナイロン66)|KDAのプラスチック加工技術
とあります。
ナイロン66はプラスチックだということがわかりました。
そして、機械的強度もそれなりにあるので、ミシン針によってムシが壊されることもありません。また、広告リード文にあるように、逆にミシン針がムシによって折れることもないということになります。
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