この記事では、ドイツ・中国のミシンメーカー「デュルコップ・アドラー社」の歴史を説明しています。
1990年代にデュルコップ社とアドラー社は合併しています。
アメリカ経済や中国経済を中心とした世界経済史の流れに、デュルコップ・アドラー社の歴史が大きく巻き込まれてきたことを読み取れます。
デュルコップ社・アドラー社の歴史:ドイツ・ミシン企業の浮沈
19世紀後半:ビーレフェルトに活気づいたミシン製造業
コッホ・アドラー(Kochs Adler)とデュルコップ(Durkopp)はいずれもミシンから会社の歴史をはじめています。
産業革命によって、ドイツのビーレフェルトの街は織物で溢れかえった場所へと変わりはてました。
米国から輸入されたミシンは、織物を処理するために使われました。
ミシンは買うには高価で、修理するには難しいという問題がありました。
アドラー社
2人の整備士、ベアとハインリヒ・コッホの二人は1860年に独国ビーレフェルトで最初のミシン工場を始めました。主に工業用ミシンを生産しました。
彼らのベンチャー起業は成功し、ビジネス・パートナーたちに新しい市場の可能性を示しました。
1865年にベアは自分自身の事業を始めました。
コッホは「コッホ社」(コッホ・アドラー社)の社名でビジネスを続けました。現在はデュルコップとシュミットという二社のメーカーに分かれています。
デュルコップ社
デュルコップは1861年に自身の最初のミシンを設計し、1867年にシュミットと一緒にデュルコップ・アンド・シュミットとして知られる会社をつくりました。
20年間で、ビーレフェルトの街はドイツのミシン産業の最重要地域の一つに成長しました。
1880年時点で、ミシン製造の分野で活動しているビーレフェルト企業は19社ありました。それらの製品は国際的に認知され、ヨーロッパ中に販売されました。
19世紀末:ドイツ・ミシン製造業の衰退と転換
しかし、国内競争および国際競争が激しくなり、その結果、ミシン製造業は1880年代に危機に瀕しました。
デュルコップ・アンド・シュミット社から、シュミットが撤退します。
デュルコップは、自転車製造の新市場を模索した最初の企業となりました。
デュルコップ社の自転車はたくさん売れ、会社は成功の道を歩み続けます。他の会社と同じように、コッホ社はデュルコップ社に追従しました。
まもなく、自転車製造は街の経済にとって重要な要素になりました。
コッホ社の成功にインスパイアされたデュルコップ社は、19世紀末に自動車、トラック、その他の輸送乗用車の製造を始めました。
デュルコップは自社のために新しいビジネス分野を見つけようと常に苦心しました。
20世紀前半:ミシンやタイプライターの発展
コッホ社は工業用縫製および衣類用具に集中しました。
やがてブランド名「アドラー」は国際需要の高いミシンの代名詞になりました。コッホ・アドラー・ミシン製造会社は1920年に自転車生産を中止します。
1920年代末、世界経済危機によって、デュルコップ製造会社(創業者の父親が亡くなった後にデュルコップ社から改名)は自動車生産を放棄しました。
繊維産業用の最初のコンベアシステムが開発され、ワイマール共和国の終期には、いろんな企業が活発な新市場を見つけていきました。
20世紀後半:ミシン製造業の停滞とドイツ企業による買収
第二次世界大戦後、コッホ・アドラー・ミシン製造会社はタイプライターと梱包機械の製造に着手し、新しいビジネス分野に進出しました。
しかし、20世紀中期に両部門は廃止され、家庭用ミシンの生産も減りました。1960年代以降、デュルコップ製造会社は工業用ミシンとコンベアシステムの生産に特化しました。
1962年にデュルコップ製造会社の株式の過半数がエフアーゲー・クーゲルフィッシャー有限会社に買収されました。
25年後、クーゲルフィッシャー・グループはコッホ・アドラー社の株式の大部分を引き継ぎ、2つの競合工場を合併する方向に進みました。
1990年以降、二つの工場はデュルコップ・アドラー株式会社の名のもとに、ビーレフェルトのオルデントルップに新しい複合施設として活躍しています。
21世紀:中国企業による買収とグローバル経済下の経営
2005年7月1日から、上海の上工申贝(SGSB Group Co., Ltd.)が、シュヴァインフルトにあるエフアーゲー・クーゲルフィッシャー有限会社からデュルコップ・アドラー株式会社の株式を過半数、引き継ぎました。
中国の中捷缝纫机股份有限公司(Zoje Sewing Machine Co. Ltd.)の子会社中捷欧州有限公司(ZOJE Europe GmbH)は、デュルコップ・アドラー株式会社の株式29%を取得し、2012年10月28日から効力を発揮しました。
今日、デュルコップ・アドラー株式会社は縫製技術の分野でさまざまなソリューションを提供しています。
当グループは、11社の子会社、2つの合弁事業、および80以上の正規販売店をつうじて、世界規模のサービスや流通ネットワークを運営しています。
参考 History
参考 Chronicle
コメント 感想や質問をお寄せください♪