この記事では、1994年に公開されたウォン・カーウァイ監督の「恋する惑星」という映画から、ミシンの意外な使い方を紹介しています。
主演女優の一人であるブリジット・リンは、「恋する惑星」のすべての出演場面でサングラスとレインコートとカツラを使っています。
かなり怪しい雰囲気です。
麻薬密造密売組織のアジトにみるミシンの活用
この映画をみて、密売組織のアジトが私には意外でした。
数名の男性・女性の衣服や携行品に詰められるだけの粉末麻薬を入れるわけですが、その場所がいくつかあって分業体制。
そして、縫いつけるためにミシンが大活躍…(笑)。
まず、ズボンはこういう具合です。
これは、麻薬を隠すためにミシンを使ってズボンに細工をしている場面です。
このミシンのブランドですが、黒色のボディに金色の模様やロゴの配色から中国製ミシン(おおむね上海製ミシン)だと考えます。
今はそれくらいしか分かりません。
黒金の配色からすると、胡蝶牌や蜜蜂牌を想像しますが、ベッド(縫床)をみるとそうではなさそうです。
次に靴はこんな具合です。
これも麻薬を隠すためにミシンを使っています。
このミシンは縫床が特殊です。
19世紀中期には存在した特殊縫床(特殊ベッド)
すでに1860年頃には、縫床が棒状になっている靴修理用のミシンが開発されていました。
たとえば「シンガー 29K54:靴修理用八方送りミシン」はシンガー社の靴修理用ミシンです。
縫床が棒状になっていて、オプションの平板を付ければ普通のミシンとしても使えます。
シンガー社だけでなく、ユニオン・スペシャル社などの他社もなんとも変わったミシンを作っていました。
次のミシンは同社の筒型3本針二重環縫ミシンです。