ミシンの性質と種類:裁断と縫製は恋愛に類似

ミシンの不思議
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この記事ではミシンの性質と種類を説明しています。

布同士を縫い合わせるミシンの性質と、家庭用ミシン・職業用ミシン・工業用ミシンの区分など、ミシンの種類に分けて述べます。

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ミシンとは

ミシンは布や紙などの薄くて柔らかいもの同士を縫い合わせる機械です。

縫い針は上下運動をします。ミシンは服を作るイメージが強いのですが、パーツに切られた薄くて柔らかいカップル同士を縫い合わせ、鞄、靴、本なども作れます。

ミシンは物と物とを糸で縫いつける機械と一言できます。裁断と縫製は恋愛と似ています。

事例

  1. 布の部分と部分をミシンで縫えば、服・帽子・鞄などができあがります。
  2. 紙を重ねてミシンで縫えば、本やノートなどができあがります。
  3. 袋の4辺目をミシンで縫えば、出荷前商品の袋詰めを終えられます。

ミシン綴じ

「事例 2」に挙げた製本用ミシンは主に絵本やノートの真ん中を閉じるのに使われます。

その後、それらの真ん中を折って完成へと進みます。この場合の綴り方は中綴りといいます。

これに対し、紙を重ねて側面をミシン縫いする方法は平ミシン綴じといいます。製本の種類はシンプルに説明している渡邉製本株式会社のページをご覧ください。

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ミシンの種類

このようにミシンは比較的薄いものを縫い合わせる機械です。

ここまで一言するとミシンを種類を分ける意味がなさそうですが、ミシン業界では次の3点から一応の区分がされてきました。

  1. 動力…手廻式ミシン、足踏式ミシン、動力ミシン、電動ミシン
  2. 場所…家庭用ミシン、工業用ミシン
  3. 用途…アパレル用ミシン、ノンアパレル用ミシン
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動力による区分

ミシンは動力から、手廻式ミシン、足踏式ミシン、動力式ミシン、電動式ミシンに区分されてきました。

1850年代、ミシン製造業が世界で初めて誕生したアメリカ合衆国では手廻式ミシンから1860年代の足踏式ミシン、1870年代の電動式ミシンへと開発が進み、1890年代には既に電動ミシンが市場に出はじめました。

当時の国々はほとんどが新興工業国か途上国で、それらの地域に向けて米国は、自国の動力開発で古くなったミシン、つまり手廻式ミシンや足踏式ミシンなどを20世紀になっても売り続けていました。

19世紀第3四半世紀アメリカでのミシン開発では、動力の転換も重視されました。
この点の詳細はこちら

場所による区分

ミシンを設置する場所でもミシンは区分されてきました。

今は家庭用ミシンと工業用ミシンがその代表例です。ただし、この区分は例外が多いです。

名前による例外

そもそも、家庭用と工業用という区分は妥当ではありません。

家庭に対比されるべきは工場です。もっとも、この区分も怪しいものです。

私が専門として着た経済史の研究分野では常に家と工場との区分に悩まされてきた歴史をもちます。工業化=工場化と思ったり、職工が3人から10人に増えて工場統計に出るようになったり…。

職業用ミシンという例外

現在、家庭用ミシンと工業用ミシンの間に位置するのが職業用ミシンです。工業用ミシンと同じように、これも場所を示していません。

職業用ミシンの性能は、針のスピードから、家庭用ミシンより速く工業用ミシンより遅い、専門性から、刺繍や複数の縫製ができる家庭用ミシンほどマルチではなく、工業用ミシン並みに一つの性能に特化している、等々の特徴が挙げられます。

そして、職業用ミシンは家にも工場にも置かれます。

妻のアトリエ(2018年夏まで)。ブラザーの職業用本縫ミシンと職業用ロックミシン。トルソーはKIIYA製。

妻のアトリエ(2018年夏まで)。ブラザーの職業用本縫ミシンと職業用ロックミシン。トルソーはKIIYA製。

上の写真は2018年夏まで妻が借りていたアトリエです。

ミシンは2台。ブラザーの職業用本縫ミシンと職業用ロックミシン。

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電源による例外

よく家庭用ミシンは電源を低めに設計され、工業用ミシンは高めに設計されるといわれています。

このように想像するのは分からなくもありませんが、実際のところ工業用ミシンは家での利用にも転換できるように2種類の電源を用意して設計されています。

おそらく工業用ミシンで内職をする場面を想定しているからと思います。

このことを裏付けるのは工業用ミシンの仕様から分かります。一例に、工業用ミシンの有名なメーカーであるジューキ社のウェブサイトを例に挙げます。

同サイトには工業用ミシンと家庭用ミシンが詳しく製品ごとに説明されています。

JUKI社の工業用ミシンのトップページが次のページです。

上のページで紹介されている工業用ミシン群は、各製品ページやダウンロードを誘導してくれるPDFカタログから仕様をみますと、単相100ボルトと三相200ボルトと、2種類の電源が用意されていることが分かります。

これに対して、次のカード以下、同社家庭用ミシンのページによると、家庭用ミシン群には電源の表記がありません。家の電源を前提としているからです。

つまり、家庭用ミシンは家での操作だけを念頭に設計されていますが、職業用ミシンと工業用ミシンは家での操作と工場での操作を念頭に設計されています。

用途・アイテムによる区分

上にカードで紹介した同社工業用ミシンのトップページは、工業用ミシンを「アパレル用ミシン」と「ノンアパレル用ミシン」に大別しています。

ミシンの用途で最も知られているは衣料品ですから、衣料品と非衣料品に分ける方法はなかなか面白いですね。

といってもアパレル用とノンアパレル用に分けるだけでは、とくにノンアパレルが何なのかが想像しにくいので、次のページが用意されています。このカードをクリックしてみてください。

アパレルとノンアパレルが何を指すのか、よく分かります。

念のためはっきりと示すと次のとおりです。

  • アパレル…Yシャツ ・紳士用ジャケット ・スラックス ・ジーンズ ・ブラジャー ・ショーツ ・ポロシャツ ・Tシャツ ・ブリーフ ・婦人ジャケット ・スカート ・ワンピース
  • ノンアパレル…バッグ ・ソファ ・シートベルト ・カーシート ・エアバッグ

バッグは衣料品の身の回り品だという点でアパレルに入れても入れなくてもOK。

ノンアパレル用ミシンでソファ、シートベルト、カーシート、エアバックなどが縫われていることが分かります。

いわれてみれば、私たちの広い意味での身の回り品に、ミシンはアパレル以上に使われているのかもしれません。

最後に

ミシン目探し…。

アパレル製品にもノンアパレル製品にもミシンの縫目をみかけられたら、心の中で「ミシンお疲れ」と労わってやってください。

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