繊維の種類と糸への紡績加工

ミシンで服づくり
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繊維という言葉を聞いたことがあるけどピンとこない。

こういう方が多いと思います。

繊維とは糸の原料です。

よく服を説明する時に「リネンの夏服」や「コットンTシャツ」などのフレーズを見ます。

  • 「リネンの夏服」…リネンという繊維・糸を織地にしてから夏用衣服にした商品のこと。
  • 「コットンTシャツ」…コットンという繊維・糸を編地にしてからTシャツにした商品のこと。

ファッション系の言葉はあらゆる要素を圧縮するので難しいです。

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繊維を身近に知る方法

身近な例から繊維を知る方法があります。

それは服や雑貨に付いている商品ラベルを見ることです。

一例に私のユニクロ製Tシャツとユニクロ製デニムのラベルを紹介します。

ユニクロ製Tシャツ

ユニクロ製Tシャツのラベル

ユニクロ製Tシャツのラベルには、日本語表記の箇所「JP」に綿78%、ポリエステル22%と表記されています。

このTシャツに使われている繊維は綿とポリエステルです。

8カ国の表記があります。

同じ製品が少なくとも8カ国語の言語圏で販売されているわけです。グローバル経済を痛感する一面ですね。

ユニクロ製デニム

ユニクロ製デニムのラベル

これはユニクロ製デニムの商品ラベル。

日本語表記の箇所「JP」にデニム本体が綿100%、革ラベルが牛革と記載。

このデニムに使われている繊維は綿だけです。牛革は繊維ではなく生地です。

つぎは私のリーバイ社製デニムのラベルです。いわゆるリーバイスのジーンズ。

リーバイ社製デニムのラベル

これに使われている繊維は綿(棉)とポリウレタンです。それぞれ98%、2%です。

ポリウレタンは弾性繊維と記されています。綿100%よりはストレッチが効きます。

このように商品ラベルを確認することで、衣料品や関連雑貨に使われている繊維を知ることができます。

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繊維の種類

繊維とは糸の原料です。

20世紀中ごろに石油を原料とする化学繊維の製造技術が向上したため、それまで単に繊維といわれていたものを天然繊維というようになりました。

そこで繊維は二分されます。

  1. 天然繊維…絹(シルク)・毛(ウールやカシミアなど)・綿(コットン)・麻(リネンやラミーなど)の4種。
  2. 化学繊維…おもに再生繊維と合成繊維の2種。前者は痛んだ天然繊維の再利用繊維(レーヨン、キュプラなど)。後者は石油を原料とする繊維(ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、ナイロンなど)。

「1」と「2」それぞれを具体的に見ていきましょう。

天然繊維

天然繊維には絹・毛・綿・麻がありました。

この4種は繊維の提供元によって2つに分けられます。

動物繊維と植物繊維です。糸にするには各繊維で作業名や品名が違うのが厄介。とくに絹系。

「紡績」や「紡ぐ」に統一してほしいところ。

絹(シルク)

次の写真は絹(シルク)です。

蛾の幼虫の殻(繭)を作っている繊維は蚕糸といいます。蚕糸から絹糸へ加工します。

LoggaWigglerによるPixabayからの画像

加工段階は2種に分かれます。

繭から糸を直接引き出すと「生糸」(きいと)といいます。

繭をいったん真綿にしてから紡ぎ出すと「紬糸」(つむぎいと)といいます。

何回聞いても覚えられません。業者用語・業界用語です。

羊毛(ウール)

次の写真は羊毛(ウール)です。

このフサフサした羊の毛をバリカンで刈り取ります。

ramboldheinerによるPixabayからの画像

刈り取った羊の脛毛や体毛を引き出す作業を「紡ぐ」といいます。次のコットンも同じです。

綿・棉(コットン)

次の写真は綿・棉(コットン)です。

また植物に一体化しているので厳密には棉花といいます。綿花でもOKですが。

MariaaによるPixabayからの画像

棉花から落ちたボール(コットンボール)のなかに種子があります。

種子を含む白いと繊維を引き出すことを「紡ぐ」といいます。長くしたいならクルクルと捩って(撚って)長くつなぎます。

綿は吸湿性にすぐれ、世界史上でもっとも多く使われてきた天然繊維です。今でも大活躍。

麻(リネン)

次の写真は麻(リネン)です。

Manfred RichterによるPixabayからの画像

天然繊維のなかで糸にするのにもっとも難しいのが麻です。

苧麻(リネン)・亜麻(ラミー)・大麻(ヘンプ)などの種類があります。

表皮をこまかく引き裂いて、とりだした靭皮繊維を捩じったり繋いだりして糸を作ります。この作業を「積む」といいます。

絹や羊毛が高品質で高価だといわれても、汎用繊維の麻も高価です。

なぜなら積む作業が大変だからです。

麻は天然繊維でもっとも強度が大きく、濡れると皺になるけど強度を増します。

化学繊維

ついで、化学繊維をみましょう。

おもに再生繊維と合成繊維の2種が化学繊維にふくまれます。

  • 再生繊維は痛んだ天然繊維の再利用繊維(レーヨン、キュプラなど)。
  • 合成繊維は石油を原料とする繊維(ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、ナイロンなど)。

PublicDomainPicturesによるPixabayからの画像

上の写真は石油工場です。

石油を高分子に合成しなおして価額繊維をつくります。

私たちは石油を身につけています。アレルギー反応をする方もけっこういますね。

天然繊維の方が身体に良いわけです。

糸への紡績加工(撚る・紡ぐ・積む)

繊維を糸に加工するにはいくつかの工程を経ていきます。

天然繊維4種とも、だいたい同じ工程を経ます。以下の説明はとくに羊毛や棉花を念頭において話します。

おおむね大事な工程は二つ。

  1. 繊維から不純物を除去する(精練工程)
  2. 純粋繊維を撚って使いやすくする(粗紡工程)

精練工程:繊維から不純物を除去

自然環境で育った繊維は不純物を多く含んでいます。

たとえば羊の写真を思い出してください。

空気中の誇りや土などが体毛に付着しています。また棉花の写真には虫がいることを確認できます。

綺麗な糸にするには、これらの不純物を除去しなければなりません。

粗紡工程:純粋繊維を撚る

不純物を取り除いた純粋な繊維を捩ります(撚ります)。

いくつかのメリットがあります。

  • 短繊維2本以上を撚ることで、長い糸にできます。
  • 撚ることで、1本あたりの強度が増します。切れにくくなる訳です。
  • 撚ることで、糸がなめらかになります。引っ掛かりにくくなる訳です。
ぴよ

インターネットのインフラの一つ、光ファイバーも単純なケーブルではなく撚って強度を高めています。機会があれば覗いてみてください。

完成した糸

いくつかの工程を経た糸は綺麗で真っ直ぐになります。

次の写真のように、少し凸凹している感じもありますが、これが撚り作業(撚糸作業)の結果です。

精練や撚りを終えて完成した糸。 via Twisted yarn Cone 263 Lin Royal 800 m

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