ジグザグミシン(zigzag sewing machine)とは、針棒が左右に振動してジグザグ状態の縫目を作るミシンのことです。ジグザグ縫目の一例はこちら。
おおむね、ジグザグ縫をオプションに備えた本縫ミシンだと考えていいと思います。
ジグザグミシンは戦前に工業用ミシンへ導入され、戦後に家庭用ミシンへ導入されました。
婦人用の肌着などに飾縫や、裾・袖口にレース縫付をする場合に使います。
別名に「あじろミシン」や「千鳥ミシン」(千鳥縫ミシン)。針棒の振動を千鳥機構といいます。
原理
ジグザグ・ミシンには手動式と自動式があります。
手動式
手動式ではジグザグのふり幅を調節ダイアルを自分で操作しながら模様を作ります。そのため慣れていないと模様が揃いにくくなります。
自動式
自動式では、模様に応じて各種の凹凸きざみをつけたカムを取り付け、ふり幅がこのカムの命令どおりに変化します。
このカムの取り付けにはダイヤル式とカム式の2種があります。
カムの取り付け方法2種
カム式では、使う都度カムをミシン本体に出し入れします。
ダイヤル式は数個のカムをミシン本体の中へ内蔵したもので、ダイヤルをメモリに合わせることで必要なカムを選定できる仕組みです。
種類
20世紀中後期のジグザグ・ミシンでは、シンガー社457種(アメリカ)、パフ社(ドイツ)、ネッキ社(イタリア)などが有名でした。
フル・ジグザグ・ミシン:full zigzag sewing machine
ジグザグ・ミシンの中で、針基線が左(L)、右(R)、中央(M)にあり、基線を中心にして左右どちらへも対象に針がれ、左右どちちか片方のみふれるセミ・ジグザグ・ミンに対するものです。
ふれる範囲が広いため、ネーム刺繍などで幅の広いところや狭いところを使いわけることができます。
また、直線縫、ボタン付、穴かがり、ネーム付け、ファスナー付け、三つ巻き縫いなどのほかに、仮縫いやチェーン・ステッチ、2本糸、2本針の同時刺繍などもできます。
これほどいろんな作業ができるのは、家庭用ミシンの中で断トツです。付属している10数種のカムを用いて、360種類以上の模様を縫えます。
フル・オート・ジグザグ・ミシン
フル・ジグザグ・ミシンに自動装置をとりつけたもので、フル・ジグザグ・ミシンでで行なった模様が自動的に連続縫できます。フル・オートマチック・ジグザグ・ミシンとも。
セミ・ジグザグ・ミシン
ジグザグ模様の左側か右側を基線にして、左か右の一方にだけ針がふれるミシン。
セミ・オート・ジグザグ・ミシン
セミ・ジグザグ・ミシンを自動化したもの。
技術の展開と売れ行きの推移
1960年代には欧州製にローパー糸が鎖のように連続綴して縫目を作るものが出てきました。
また、その頃、内臓カムによって連続する図形を自動的に縫うことができるようになりました。
1970年代には日本製にIC(集積回路)を利用して操作がいっそう楽になりました。
世界での売れ行きの流れは次のとおりです。
20世紀前半に工業用ジグザグミシンが中心で米国製、戦後は家庭用ジグザグミシンが売れはじめ、主なメーカー国は1960年代まで欧州製、1960年代から日本製と推移してきました。
家庭用ジグザグミシンをめぐる第二次大戦後の詳しい趨勢はこちらをご覧ください。
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