糸から織地や編地をつくる様子を次の記事でたどりました。
この段階が終わると織地や編地を裁断して、各パーツを縫っていく作業に移ります。
これまでたどってきた「繊維⇒糸⇒布(織地・編地)」となった布を「切って縫う」作業です。
英語でいえば馴染みがあると思います。「カッティング」と「ソーイング」です。
難しくいえば裁断縫製、簡単にいえば裁縫。
織物から衣服雑貨へ加工:裁縫につかう裁断機とミシン
裁断機(カッティング・マシン)やミシンが開発される以前、手作業の時代には石やハサミで布を切って、手で縫っていました。
19世紀なかごろになってミシンの開発は進みました。とくにアメリカ合衆国では開発ラッシュが続いてミシン製造業が産業として確立しました。
ミシン開発史の事情は「ミシン開発史:19世紀中期アメリカに誕生するまで」をご覧ください。
裁断(カッティング)
裁断の基本は、想定した完成図に沿って布をブレずに切ることです。
このために必要な道具が想定した完成図です。つまり「型紙」「原型」「囲み製図」など。型紙は裁断図やパターンともいいます。
これらの特徴や違いは「パターン:型・原型、模型、様式、見本」をご参照ください。
布に線を引いても良さそうなものですが、サイズや形を修正しにくいので、長らく人類は紙を使ってきました。
裁断するうえでもう一つ大切なのが裁断道具です。
昔は石包丁、今はハサミや裁断機(カッティング・マシン)。
20世紀になって裁断機はミシン同様に進化しました。
このように広い台に50枚ほどの布を重ねて、1ミリもズレずに垂直にレーザー光線、デジタル、ウォータージェットで切ります。
種類の異なる生地を数十枚重ねてカットする機種もあるそうでビックリ。
縫製(ソーイング)
ハサミや裁断機で切られた布パーツは「Cloth」(布)から「Clothes」(服)へ変わりました。
各布パーツは手縫やミシン縫によって衣服や雑貨となっていきます。
以下では工業用ミシン・職業用ミシンと、家庭用ミシンに分けて説明します。
工業用ミシンと職業用ミシン
仕事として衣服を作るのに必要なミシンは基本的に2台です。
直線に縫うミシンと、縁をしっかり縫うミシンです。それぞれ本縫ミシンと環縫ミシンといいます。
私の妻のアトリエでは、2つの作業をブラザーの本縫ミシンとオーバーロックミシン(環縫ミシンの一種)で行なっています。
家庭用ミシン
工業用ミシンや職業用ミシンでは2種類のミシンを用意しますが、家庭用ミシンで衣服を作るには1つの条件をクリアしていれば、なんと1台で作れます。
服づくりの条件として一ついえるのはジグザグ縫い(千鳥縫い)ができるかどうか。
これだけです。
工業用ミシンや職業用ミシンの専門特化と違い、家庭用ミシンは1台でマルチな役割を担います。
本縫もできて縁縫もできて、おまけに刺繍もできます。
その分、過度な負担がかかりやすいので家庭用ミシンはよく故障するというデメリットもあります。
ミシンは捨ててしまったけど久しぶりに服づくりをしたい方や、古い家庭用ミシンが押し入れにあるので久しぶりに使ってみようという方へ。
縁縫い(ジグザグ縫い)機能のついたジグザグミシンが家にあるか、新しく購入するか、確認・検討をお勧めいたします。
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